



コキンボ州の中核をなす渓谷。チリでは数少ない石灰質土壌に恵まれ、太平洋からの冷たい海霧(カマンチャカ)の影響と相まって、ブルゴーニュ、特にシャブリを思わせるミネラル感あふれるシャルドネの銘醸地として確立されています。
産地としての歴史
ブドウ栽培の歴史は16世紀半ばにさかのぼり、長らくピスコ(モスカテルやペドロ・ヒメネス)や食用ブドウの産地として知られてきました。転機は1990年代。石灰質土壌のポテンシャルが見いだされ、1994年に原産地呼称(DO)が認められます。2002年にはTabalí(タバリ)が設立され(ブドウ栽培自体は1990年代から)、本格的なワイン造りを開始しました。その後チリのワイン業界がリマリに注目し、わずか20年ほどで屈指の白ワイン産地へと駆け上がりました。
気候の特徴
砂漠の縁に位置し、年間降水量が少なく、チリでも有数の乾燥地です。そのため、多くの畑はアンデスの雪解け水を集めるリマリ川からの灌漑に頼っています。日射量も多い一方、夏の朝には太平洋から冷たい海霧「カマンチャカ」が谷あいを這い上がり、昼前まで畑を覆って気温を抑えます。夏の最高気温も25℃前後にとどまり、日中の強い日照と夜の冷え込みという大きな寒暖差が、ゆっくりとした成熟とフレッシュさ・熟度の両立をもたらします。
地形の特徴
アンデスの雪解け水を集めるリマリ川(ウルタード川とグランデ川が合流)に沿って、東西に細長く広がります。海から内陸へと気温が上がる明確なグラデーションを持ち、区画ごとに個性が分かれます。太平洋に近いタリナイは、海から約10〜12km、古代の海底に由来する石灰質の丘で、いま最も注目されるエリアのひとつ。一方、アンデス山麓のリオ・ウルタードでは、標高1,600mを超える高地でマルベックなどの赤も試みられています。
地質の特徴
チリでは火山性・花崗岩質の土壌が大半を占めるなか、リマリは国内でも稀な石灰質土壌に恵まれています。とりわけタリナイには、太古の海底が隆起してできた、多孔質で割れ目の多い石灰岩の層が広がります。乾燥した気候が炭酸カルシウムを多く含む土壌を各所に生み、これがワインに明確なミネラル感と塩気、そして完熟しても失われない高い酸をもたらします。ほかに赤い粘土や、石がちで水はけのよい沖積土も見られます
品種の特徴
看板はシャルドネで、石灰質と冷涼さに由来する、引き締まってミネラルを感じる、ブルゴーニュのシャブリとも比較されるような白を生みます。シラーも成功しており、海寄りでは旨みのある冷涼なスタイル、内陸では果実味豊かなスタイルになります。ピノ・ノワールはエレガントさで評価を高め、タリナイのソーヴィニヨン・ブランはチリ随一とも称されます。内陸の温暖な区画ではマルベックやカルメネールも育ちます。
ワインのスタイル
石灰質と海の影響が生む、ミネラル感と塩味を帯びたエレガントなシャルドネが有名です。冷涼感のあるピノ・ノワールや、黒い果実とスパイスが香るフレッシュなシラーも生まれます。総じて爽やかな果実味と豊かな酸を兼ね備え、アルコールは低〜中程度。完熟しても緊張感を失わない、洗練されたスタイルが、リマリ・ヴァレーのワインの特徴です。
