



チリでブドウ栽培面積が最も広い、歴史ある南部の産地。樹齢を重ねた古木のパイスやカリニャンが数多く残り、近年は自然派・古木ワインの聖地として世界的な注目を集めています。VIGNOやAlmauleといった生産者団体の活動でも知られます。
産地としての歴史
17世紀の植民地時代に植樹が始まった、チリ最古級のワイン産地のひとつです。長らく、灌漑された広大な畑から大量のワインを生み出す産地としてチリのワイン業界を支えてきましたが、近年は古くからこの地に根づくカリニャンやパイスが見直され始めています。カリニャンは、1939年の大地震からの復興期に政府の奨励で導入され、もともとあったパイスの畑に色や酸、タンニンを補う品種として定着しました。長く無名の存在でしたが、1990年代以降、灌漑に頼らない古木が生む低収量で凝縮したブドウの質が再発見されます。2009年に発足した生産者団体VIGNOが古木カリニャンの再興を牽引し、伝統品種パイスの価値を見直すAlmaule(アルマウレ)の活動とあいまって、いまや古木と自然派の聖地として世界的に注目されています。
気候の特徴
地中海性気候で、年間約700mm超の雨は冬に集中し、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。ただし、産地の中で性格は大きく分かれます。アンデスと海岸山脈に挟まれた中央の平地は、アンデスの雪解け水による灌漑に恵まれた温暖で日照の豊富なエリアで、多収量の大量生産に向き、国際品種が広く植えられています。これに対し、灌漑をせず冬の雨だけに頼る天水栽培地帯(セカーノ)は収量が低く、海岸山脈寄りでは海の影響も加わって、酸を保ちながらゆっくりと成熟します。こうした環境が、古木のカリニャンやパイスに深みと鮮度を与えています。
地形の特徴
アンデスと海岸山脈の間に広がる、チリ最大の栽培面積を誇る広大な産地です。中央のマウレ川やロンコミージャ川沿いの平地は、灌漑された肥沃な農地で、大量生産の中心地となっています。一方、その西側、海岸山脈へとせり上がるなだらかな丘陵地帯は、灌漑をしない天水栽培地(セカーノ・インテリオール)で、やせた土壌に古木が点在します。ロンコミージャ、ビジャ・アレグレ、サン・ハビエルといった内陸の銘醸地や、より冷涼な西部のカウケネス(トゥトゥベン)が、古木カリニャン・パイスの中心です。
地質の特徴
土壌は多様で、内陸の天水栽培地帯(セカーノ)には、やせて水はけのよい花崗岩質の土壌が広がります。これが古木のカリニャンに凝縮とミネラル感を与えます。ほかに沖積由来の粘土・ローム・礫なども見られ、区画ごとに個性が分かれます。
品種の特徴
作付面積で最も多いのはカベルネ・ソーヴィニヨン、次いでメルローですが、この産地の現在を象徴するのは古木のパイスと、樹齢を重ねた天水栽培のカリニャンです。サンソーやセミヨンの古木も貴重で、これらを混醸したフィールドブレンドも生まれます。
ワインのスタイル
古木のカリニャンは、ダークチェリーやプラムの果実に、ドライスパイスやミネラルの精緻さ、いきいきとした酸を備えた、しなやかで土の香りのある赤です。パイスは軽やかで果実味がフレッシュ、素朴で親しみやすい味わいで、近年はロゼや微発泡(ペティアン)にも用いられます。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローは、ふくよかな果実味の手頃な赤を中心に、上質なものも生まれます。自然派・低介入の造りも多く、土地の個性が素直に表れます。
主なワイナリー/生産者
※本拠地は他にありますが、この産地のブドウから一部のワインを生産しています。
