



マウレ州北部の広大な産地であるクリコ・ヴァレー。チリ最大級のソーヴィニヨン・ブラン生産ゾーンとして知られ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの赤も広く造られます。スペインのミゲル・トーレスがいち早く進出し、チリワインの近代化を後押ししたことでも知られます。
産地としての歴史
ブドウ栽培は19世紀半ばに始まり、長くマウレ地方の一部と見なされてきました。転機は1979年、スペインの大手ワイナリーMiguel Torres(ミゲル・トーレス)の進出です。温度管理されたステンレスタンクなどの近代技術を導入し、これがチリワイン全体の品質革新の起点のひとつとなりました。その成功は海外資本を呼び込み、クリコをチリ有数の生産地へと押し上げます。樹齢100年を超える接ぎ木なしの古木も残されています。
気候の特徴
クリコ・ヴァレーは地中海性気候で、夏は暑く晴天が続き、冬に雨が集中します。特徴的なのは、アンデスを下る夜の冷気の影響で、海から遠い東側(クリコやモリナの町の周辺)の方がむしろ冷涼な点です。海岸山脈が東西の空気の流れを遮るため、他産地とは逆の構図になり、評価の高い畑の多くはこの冷涼な東部に集まります。昼夜の寒暖差が、フレッシュな酸を保ちます。
地形の特徴
アンデスと海岸山脈に挟まれた広い渓谷で、北のテノと南のロントゥエの2つのサブゾーンに分かれます。アンデスの雪解け水を集めるテノ川とロントゥエ川が流れ(やがて合流してマタキト川となります)、その水なしでは栽培が成り立たない、灌漑前提の産地です。
地質の特徴
クリコ・ヴァレーの土壌は多様で、火山性の岩や沖積土に、粘土・ローム質が混ざります。チリでは比較的珍しい石灰質土壌も南部のロントゥエなどに見られ、上質な辛口白や、ベリーの香り高いカベルネ・メルローを生みます。他産地よりやや肥沃な土壌が、安定した収穫を支えています。
品種の特徴
ソーヴィニヨン・ブランとカベルネ・ソーヴィニヨンが二大品種で、チリ最大級のソーヴィニヨン・ブラン産地です。メルロー、シャルドネ、カルメネール、シラーも広く栽培され、リースリングやゲヴュルツトラミネール、シュナン・ブランといった品種も見られます。
ワインのスタイル
手頃で親しみやすい白と、果実味豊かな赤を安定して供給する、チリの屋台骨とも言える産地です。カベルネ・ソーヴィニヨンは、マイポの力強さとは異なる、穏やかで均整のとれたスタイルが評価されています。ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネは、寒暖差を映したフレッシュで親しみやすい味わいです。
