



アラウカニア州、チリでも最南に位置するワイン産地のひとつであるマジェコ・ヴァレー。1993年に冷涼地の可能性が見いだされ、注目を集めました。日照が少なく降雨も多い環境で、繊細でエレガントなシャルドネとピノ・ノワールを生み、「南米のグラン・クリュ候補」とも評されています。
産地としての歴史
マジェコ・ヴァレーは、チリで最も南に位置するワイン産地の一つです。サンティアゴから南へ約600km、南緯38度のこの地で、1993年にマイポ・ヴァレーを拠点とするワイナリー Aquitania(アキタニア)がブドウを植えたのが始まりです。同ワイナリーのシャルドネ Sol de Sol(ソル・デ・ソル)の成功が農務省に認められ、産地呼称(DO)が南へと拡張され、マジェコ・ヴァレー(トライゲン地区)が誕生しました。栽培面積は今もごくわずかですが、ブルゴーニュ品種の冷涼地として志の高い造り手が集い、近年は「南米のグラン・クリュ候補」とも評されています。
気候の特徴
冷涼で雨が多く、ブドウ栽培には厳しい辺境の気候です。冬は寒く雨が多い一方(年間降水量は約1,000mm以上)、夏は乾いて穏やかで、気温はおおむね18℃を超えません。ワイン生産が集中するチリの中央部より日照が約25%少なく、生育期間が短いため、酸とアロマが美しく保たれます。降水が多いため、チリでは数少ない、灌漑をしない天水栽培(ドライファーミング)が可能な産地でもあります。
地形の特徴
マジェコ・ヴァレーは、アンデスとナウエルブタ海岸山脈の間に位置する小さなエリアです。火山地帯の高台や斜面に、ごく小規模な畑が点在します。中心はトライゲンの町の周辺で、湖や火山、緑豊かな景観に囲まれています。19世紀に架けられた壮麗なマジェコ高架橋でも知られる土地です。
地質の特徴
近隣のロンキマイ火山などに由来する、火山性の土壌が特徴です。中心となるのは「トルマオ」と呼ばれる火山灰土と、有機物に富む深い赤色粘土。保水性がありながら水はけもよく、雨の多い環境でも健全に育ちます。やせ気味の土壌が樹に適度なストレスを与え、ミネラル感と張りのある酸を備えた凝縮したブドウを生みます。
品種の特徴
短い生育期間で完熟する早熟品種が中心です。看板はシャルドネとピノ・ノワールで、ブルゴーニュ品種の冷涼地として国内随一の評価を得ています。ソーヴィニヨン・ブランやリースリングも栽培され、近年はシャルドネとピノ・ノワールから本格的なスパークリングワインも生まれています。
ワインのスタイル
引き締まった酸とミネラル感を備えた、繊細でエレガントなワインが特徴です。シャルドネはチリ最上級とも言われ、柑橘や青リンゴ、火打ち石を思わせる香りに、緊張感のある酸が貫きます。ピノ・ノワールは赤い果実の繊細な香りと、しなやかで冷涼感のある味わい。アルコールは控えめで、ブルゴーニュやオレゴンを思わせる、チリでは異色の冷涼スタイルです。
主なワイナリー/生産者
※本拠地は別にありますが、この産地のブドウから一部のワインを生産しています。
